日本の現状について
厚生労働省の発表によれば2008年の一年間に日本では約109万のいのちが誕生しています。それに対して約24万もの尊いいのちが人工妊娠中絶によって闇に葬られています。さらに残念なことには、この中絶件数はあくまで公式の数であり実数ではないと思われるのです。かつて神奈川県で中絶された胎児を一般ごみに捨てるという大変ショッキングな事件がありました。そのクリニックは、実際には厚生労働省に届けた5倍もの数の中絶手術を行っていました。ですから、日本における中絶件数の実際は、24万の数倍にも及ぶのではないかと推測されます。
実際に1999年に実施されたNHKの調査によれば、一度でも妊娠経験のある日本人女性のうち、中絶を体験した女性の率は何と43%。別の調査によれば、10代での妊娠の場合は約70%が中絶されるそうです。また、日本では三人目以降の妊娠した場合も、同じく約70%が中絶をされてゆきます。日本の家庭に二人兄弟が圧倒的に多いのにはこのような背景があるのでしょう。
こうした数字を見るときに、中絶とは一部の軽率な性行動をする男女だけの問題とは言切れません。日本に生きる多くの女性たちにとっての痛みであり、男性たちにとっても大きな責任が問われるべきことでしょう。
日本の社会では中絶体験者がその苦悩を伝える機会や、実際の数字を受け止めて真剣に考える機会が極めて少ないように思います。大切ないのちと、女性の一生にかかわることなのですから、この事実を認め、受け止め、いのちの大切さや幸せな性のあり方を、考えていただければと願います。